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コット、はじまりの夏

税務署へ行って確定申告を終えたあと 、そのままKBCシネマに行って「コット、はじまりの夏」を観ました。何の前情報も無しに、その時間帯に上映している映画を観て帰ろうと決めていたのです。ネットで入念にリサーチしてもハズレる時はハズレるんだから、偶然に賭けてもいいだろうと思ったわけです。そして、その賭けに勝った!久しぶりにこんなに良い映画を観た。静かで抑えた演出、詩的な映像、素晴らしかった。

例えば、コットが叔母さんと2人で井戸水を汲みに行くシーン。凡庸な映画であれば、ここでコットに「美味しい」と言わせたり、目を見開かせたりするけど、この監督はそんなことしない。静かにひとくち水を飲むだけ。例えば、コットが遠く離れたポストへ走っていくシーン。ここはコットと叔父さんの関係が変わりはじめる重要なシーンだから、凡庸な映画であれば、戻ってきたコットと叔父さんが笑いあうところまで入れてしまうけど、この監督はそんなことしない。ただただ走るコットの表情を、見事にとらえるだけ。

つまりそういうことです。良い映画なのです。いやあ、本当に良い映画だった。素晴らしかった。ラストシーンを思い出すだけでじーんとくる。しばらくこの余韻に浸って生きていこう。

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