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本のこと

戦争と平和を読む①

「白鯨」を読むつもりだったけど、やっぱり気が変わり、トルストイの「戦争と平和」を読んでいます。新潮文庫の工藤精一郎訳、全4巻の大長編。めちゃくちゃ面白い!タイトルが重々しいから、きっと暗くて気難しい小説だろうと身構えていたら、ぜんぜん違いました。ユーモアに溢れた軽快な文章ですらすら読めています。もしかしたら、これから暗くなっていくのかもしれないけど、今のところはまだ「平和」の状態で、ロシアのお金持ちたちが行儀よく、心にもない世辞を言い合って、ウワサ話で盛り上がっています。お金持ちなんて、なるもんじゃないな。

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AIと文学を語る

最近、ChatGPTと「魔の山」について語り合っています。ぼくの周りに魔の山を読んでいる人はいないので(知らないだけでいるのかもしれないけど)、試しにChatGPTに、ぼくが印象に残った場面の感想を打ち込んでみると、予想していたよりも10倍すごい言葉が返ってきて驚きました。まさかコックリさんでヨーアヒムを呼び出した時のハンスの心境をひと言で表した「口の中で苦い味がした」の一文について、語り合える日がくるなんて。AIとだけど。しかも時々「あなたのその感じ方、とっても深いですね」とか誉めてくるのが恐ろしい。AIにおだてられて、ちょっとうれしくなる自分が恥ずかしい。最初のほう、AIの言葉遣いが時々気になっていたけど、こっちが徹底して敬語で話しかけていると、いつのまにかAIから馴れ馴れしさが消えました。距離感は大事。

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長い読書



島田潤一郎さんの「長い読書」を読んでいます。読書にまつわる散文集です。すごくいいです。本を読まない人が読んだら、きっと本を読みたくなるし、読書が好きな人は、もっと読書が好きになるような本です。特に印象的だったのが、大学の文芸研究会のOBであるIさんの話です。証券会社の営業マンとして、お昼もろくに食べられないほど忙しい日々を送るIさん。「そんな生活の中でも、本って読めるんですか?」という問いに対するIさんの言葉は、ほんとうにグッときます。

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白鯨を読む①

「魔の山」の次は何を読もうか迷いましたが、世界10大小説の中から「白鯨」に決めました。上下巻あわせて1000ページ。魔の山の1500ページに比べたら3分の2だけど、それでもかなりの分厚さです。読み終えるまで何か月かかるかな。それにしても魔の山はなぜ10大小説に入っていないんだろう?絶対入るべきやろ。ぼくがこれまで読んだ小説で一番凄いと思ったのは・・・いや、一番とか決められないけど、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」「悪霊」はいずれも読み終えた後、しばらくその世界から抜けられませんでした。「悪霊」はすごかった。読んでいて面白いなーと感じたのは「カラマーゾフの兄弟」が一番かもしれません。サン・テグジュペリの「人間の土地」も感動しました。でも小説じゃないからあれか。もちろん「魔の山」もベスト10に入ります。短篇だったらマンスフィールドの「園遊会」、サン・テグジュペリの「夜間飛行」も良いなあ。とにかく次は「白鯨」を読みます。

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魔の山を読む⑩

ついに読み終えました。半年以上かかったけど、下巻の途中からはぐいぐい読み進めて、一気にラストまでたどり着きました。すごかった。ところどころ難しくて字を追うのが苦痛だったけど、それ以上の喜びがありました。いつのまにか自分が活字の世界に入りこんでいました。こんなとんでもないものを一人の人間が書けるなんて、人間ってすごいな、これから先、これを超える読書体験はあるのかな?

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魔の山を読む⑨

残り160ページ。ゴールが見えてきた嬉しさと、終わってしまう寂しさ、後者のほうが大きいです。いま、ハンス・カストルプがレコードにハマっています。とても重くて、劇的なエピソードのあとで、しかも長い長い物語の最終盤にきて、主人公がレコードにハマるという意外性。クラシックを中心に、音楽の話題が展開されています。まさかこのまま終わらんよね?小説の中で音楽のうんちくを語るといえば、村上春樹さんがその代表ですが、きっと村上さんは魔の山の影響を受けていたんだな。ノルウェイの森の主人公(ワタナベくん)は、たしか魔の山を読んでいましたよね。

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魔の山を読む⑧

ついに最終章に突入しています。ペーペルコルンというオランダ人の大富豪がやってきて、この人がすごく人間的で、魅力的で、ページをめくる速度がぐっと上がりました。そして、難解で高尚な議論をいつも交わしていた2人(ナフタとセテムブリーニ)が、やたら小さい人間に思えてきました。あと300ページ残っているとはいえ、物語の終わりがなんとなく近づいています。さみしい!魔の山を読み終えたら、同じように読み終えた人と話したい!こんなに読むのがしんどくて、半分以上退屈な小説なのに、そう思えるのが不思議です。夏葉社の島田さんが著書「長い読書」の中で、魔の山について書いているようなので、それを読むのも楽しみです。

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魔の山を読む⑦

いまの若い人はなんでもかんでも「カワイイ」と「ヤバイ」で表現していて、いちいち言語化するのが面倒臭くなっているのか、それとも人類の進化(退化)として、言語はどんどんシンプルになっていく宿命なのか。こだわりの本をセレクトする硬派な本屋の店主が、「まじカワイイー」と言いながらスマホで店内を撮影し、何も買わずに出ていく若者に腹を立てていた。うちの店がカワイイわけないだろ!って。

魔の山では、あの難解コンビ「ナフタとセテムブリーニ」が出てきて、フリーメイソンに関する退屈極まりない議論をはじめて、もう何を言っているのかさっぱりわからん。しかし、読み飛ばさず、内容の98%は頭に入ってこないのに、必死で文字を追っていく、そんなストイックな自分にシビれました。

98%頭に入ってこない文字を追うことに、果たして意味はあるんだろうか?たとえ頭に入ってきても、1年後にはキレイに忘れているから、じゃあ何のために本を読むのか?それは永遠の謎です。いくら魔の山を読んだところで、実際に人と会話をはじめると、ぼくの言語能力は「カワイイ」と「ヤバイ」でなんでも表現する若者と大して変わりません。

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魔の山を読む⑥

いつもカバンの中に文庫本をひとつ入れていくので、今は「魔の山」が、ぼくと行動を共にしています。打ち合わせ時刻の1時間前、現場近くのパーキングに車を停めて待機している間、魔の山をパラっと開きます。ウエスト中華飯店で頼んだチャーハンが到着するまでのわずかなスキマ時間も、魔の山をパラっと開きます。寝る前もパラっと開きます。どのタイミングで開いても、難しくて1ページぐらいしか進まない。魔の山がいつもそばにあって、後から振り返ると、あの時はいつも魔の山を読んでいたなあという思い出になるのか、ならないのか。読みはじめてもう半年が経ちました。

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魔の山を読む⑤

いまナフタとセテムブリーニが激しい討論をしているけど、この人たちは何について討論しているんだろう?さっぱりわからん。時折ハンス・カストルプが口を挟むと、決まってセテムブリーニに「未熟者は黙って聞きなさい」と叱られる、にも関わらず、またちょっと背伸びをしては叱られる。下巻になって難解さが加速しています。

魔の山を読んだ人はどんな感想を持ったんだろう?と、SNSで検索してみると、つまらなすぎて読み終えるのに3年かかったという人がいた。またある人は、作者のトーマス・マンって実はバカなんじゃない?と言う人がいて、思わず笑ってしまいました。ただ確実に言えるのは、「わからない」と「つまらない」は違うということ。

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写真がいってかえってきた

写真集は大きいほうがいいと思っていたけど、佐内正史さんの「写真がいってかえってきた」を手にして、これぐらいの小さな写真集もいいな、と思うようになった。コデックス装でぱかっと開くから、適当なページを開いたまま机の上にポンっと置いて、仕事中チラチラと佐内さんの写真が目に入る、という状況を楽しんでいます。

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魔の山を読む④

「魔の山」がなかなか進みません。いま下巻のナフタの過去話のところ。きついー。再開しても1ページで閉じてしまう。急に出てきたナフタというキャラにぜんぜん興味が持てないから読み飛ばしたい。正直ナフタが言ってることの半分以上は理解できません。難しすぎて。でもがんばろう。せっかくここまで飛ばさずに読んできたから。はやくナフタの過去話終わってくれ。

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最近買った本

■明るい部屋(ロラン・バルト)
■風景との対話(東山魁夷)
■アラスカ 光と風(星野道夫)
■死は存在しない(田坂広志)
■ブッダが説いたこと(ワールポラ・ラーフラ)
■オン・ザ・ロード(ケルアック 青山南訳)
■アメリカの鱒釣り(リチャード・ブローティガン)
■川釣り(井伏鱒二)
■ドローイング(鈴木ヒラク)
■拡張するイメージ(藤田瑞穂他)
■見るレッスン(蓮實重彥)
■想像のレッスン(鷲田清一)

これは自分のための記録です。
他にもあったような気がするけど。
写真集は含めていません。

いま「明るい部屋」を
魔の山と並行して読んでいます。
「同じ写真家の写真でも
すべてが好きなわけではない」という
ロラン・バルトさんの言葉を読んで
それが当たり前のことなのに
なんとなくすべてを好きになろうと
していた自分を発見しました。

それでいうと「本」もそうで
1冊丸ごと好きにならなくても
全然いいんですよね。
モームさんは「読書案内」の中で
飛ばし読みを推奨しているぐらいだし。

「見るレッスン」は新書ですが
蓮實先生は絶対に新書だけは書くまいと
長い間思っていたそうです。
その理由はわからないけど。
ちなみにぼくは新書によくある
あの太字表現が大嫌いです。

「死は存在しない」も新書で
まさに太字表現がてんこ盛りで
なんでこんなことするんかなあと
うんざりしながら読みました。
でも内容は結構面白くて
自分という存在なんて無く
総エネルギーの一部だというのは
たぶん本当のような気がします。

魔の山(下)は絶賛停滞中!

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長島有里枝さんの「SWISS」



長島有里枝さんといえば、パンクでハードな人というイメージを勝手に持っていたけど、14年ぶりに復刊された「SWISS」を見て、そのイメージが180度変わりました。こんなにやさしくてまっすぐな文章を書き、そして綺麗な写真を撮る人だったのか。

一度書店でパラパラっと見た時は、ふーん、花の写真、しかも文章が付いている、写真集に言葉はいらないな、と思いました。でも「SWISS」は写真集に言葉があるのではなく、写真と文章が対等に存在していて、それぞれが素晴らしく、相互作用もしていて、フォトエッセイとは呼びたくない、それだと軽すぎる、でも純粋な写真集でもない、いままで見たことのない、新しい体験でした。長島さんが5歳の子供とスイスで過ごした3週間を体験できる本。だから書店でパラパラっとめくっただけでは、この本の素晴らしさは分からないのだ。

本当に良い本を手にした時、ページをめくるのがもったいないと感じるけど、これはそういう本です。

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魔の山を読む③

ようやく上巻を読み終えました。7月から読みはじめて、半年もかかってしまった。出かける時は常にカバンの中に入れていたからもうボロボロで、半年前に買ったとは思えない風格が漂っています。自分の手でボロボロにした文庫本は良い。ツルツルピカピカの文庫本より、汚れて、折れ曲がった文庫本のほうが、絶対に良い。上巻のラスト「鉛筆ちゃんと返してね」は、ここまで我慢強く読んできた人だけが味わえるゾクゾク感がありました。さて、これからとりかかる下巻は、上巻よりも更に分厚い!

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本を買う時

ぼくは本屋で本を買う時
気になる本を見つけたら
パラパラっとページをめくり
ピンと来たら迷わず買います。
ネット上のレビューは
絶対に見ないと決めています。
だれか知らない人の
感想や評価に惑わされず
自分の直感を頼ります。
ハズれることもあるけど
そのほうがいいと思います。

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魔の山を読む②

魔の山をちびちび読んでます。魔の山の物語自体がちびちびゆっくり進むので、それをちびちび読んでも一向に話は進展しない。でも面白い。日常でどんなことがあろうと、本を開いた瞬間、その本でしか味わえない完全にオリジナルな世界の中へすっと入っていける小説こそが、名著なのかもしれんなあ、とか思いながら。

子供が夏休みの自由課題で、オリジナルの物語を書きました。タイトルは「レコードぼうけん」。いろんな県に行ってレコードを買い、ご当地グルメを食べ、ホテルで寝る、そういう話です。将来子供が小説家になったら、このレコードぼうけんが彼の処女作ということになる。

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本の厚み

■魔の山(トーマス・マン / 高橋義孝訳)
■白鯨(メルヴィル / 田中西二郎訳)
■読書案内(モーム / 西川正身訳)
■人はどう死ぬのか(久坂部羊)

魔の山、白鯨、その分厚さでぼくをはねつけてきた本たちに、いよいよ挑む時がやってきました。この分厚さは、カラマーゾフの兄弟と悪霊以来です。乗り気じゃない時はマイナス査定だった魔の山の分厚さが、読みはじめた今ではうれしくて仕方ない。分厚さ最高。次に控える白鯨もまた分厚い!

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魔の山を読む①

毎月必ず3冊本を買うと決めたのに、まずいぞ、残り1週間のうちに買わないといけない。トーマス・マンの「魔の山」を買うことは決めています。トーマス・マンの「魔の山」という名前から漂う圧倒的な本物感。トーマス・マンの「魔の山」が、駄作なわけがない。トーマス・マンの「魔の山」が本棚にある人と無い人だったら、あるほうがかっこいいに決まっている。ただ問題は、新潮文庫で買うべきか、岩波文庫で買うべきか、そこです。翻訳は相性があるから、実際に読んで決めよう。

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言いたい

もしぼくが本屋の店員だったら、「人間の土地」をレジに持ってきたお客さんに、声をかけずに黙っていられる自信は無い。「コットはじまりの夏」のDVDを持ってこられたら、これめちゃくちゃ良いですよって言いたい!今までいろんなお店でいろんなモノを買ってきて、一度も店員さんから「これ、いいですよね」と言われたことないけど、みんなよく我慢できるね。

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