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映画や音楽のこと

コット再び!

ネットを彷徨いながらコット情報を収集していると、なんと上映が終了したはずのKBCシネマで、3月11日から3月14日までの間、再上映されていることを発見してしまった。そんなことあるんだ!観たいなあ、もう一度スクリーンで。しかし、スケジュール的には今、かなり厳しい。うーむ。

昨日は、はぴりのさんの新しいモデルルーム撮影に立ち合い、帰りに丸善に立ち寄ると、いつのまにか4冊の本がぼくの手の中にありました。文庫3冊、デザイン本1冊。デザイン本は大原大次郎さんというデザイナーの方の作品集。今まで知らなかったけど、ぼくが好きな手仕事バリバリの制作スタイルで、大いに刺激を受けました。

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これこそが映画だ!と言いたい

コット、はじまりの夏

良い映画を観た時の、あの画面が黒になって、エンドロールに切り替わった時の気持ちは、人生で感じることができる最良のもののひとつだと思う。だけどそれを感じられる映画は本当に少ない。開始10分でだめだこりゃって思うものはたくさんあるけど。そして映画館を出て、すれ違う人たちは全く別のことを考えていて、たった今ぼくが素晴らしい映画を観て、心に感動を抱えていることを知らないという、あの変な感覚は何だろう。

「コット、はじまりの夏」は、本日3月7日で上映が終わってしまう。もう一度スクリーンで観たかった。DVDが出たら絶対に買おう。こんな映画らしい映画は本当に稀だから。言葉にできないものを描くのが映画だとしたら、これこそが映画だ!作品そのものが沈黙の美しさに包まれていて、劇中でも沈黙についての印象的な台詞がある。「沈黙は悪いことではない、たくさんの人が沈黙の機会を逃し、多くのものを失ってきた」金言です。

映像はアート写真の連続のようで(北野武監督がどのシーンを切り取っても一枚の絵画になっているのが映画の理想だと言っていたっけ)、このシーンに台詞を入れて欲しくないなあと思いながら見ていると、本当に台詞がないまま次の場面へと移るから、鑑賞中は至福の時間だった。思い返せばあの90分間、ぼくは完全にアイルランドの田舎にいた。綺麗な世界だけではなく、人間の嫌な部分もしっかりと描いていて、ただのほのぼの映画なんかではない。だからこそあのラストシーンにぐっとくる。

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コット、はじまりの夏

税務署へ行って確定申告を終えたあと
そのままKBCシネマに行って
「コット、はじまりの夏」を観ました。

何の前情報も無しに
その時間帯に上映している映画を
観て帰ろうと決めていたのです。
ネットで入念にリサーチしても
ハズレる時はハズレるんだから
偶然に賭けてもいいだろうと思ったわけです。

そして、その賭けに勝った!
久しぶりにこんなに良い映画を観ました。
静かで抑えた演出、詩的な映像
素晴らしかった。

例えば、コットが叔母さんと2人で
井戸水を汲みに行くシーン。
凡庸な映画であれば
ここでコットに「美味しい」と言わせたり
目を見開かせたりしますが
この監督はそんなことしません。
静かにひとくち水を飲むだけ。

例えば、コットが遠く離れた
ポストへ走っていくシーン。
ここはコットと叔父さんの関係が
変わりはじめる重要なシーンだから
凡庸な映画であれば
戻ってきたコットと叔父さんが
笑いあうところまで入れてしまうけど
この監督はそんなことしません。
ただただ走るコットの表情を
見事にとらえるだけ。

つまりそういうことです。
良い映画なのです。
いやあ、本当に良い映画だった。
素晴らしかった。
ラストシーンを思い出すだけでじーんとくる。
しばらくこの余韻に浸って生きていこう。

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Y君の家でビートルズを弾いた思い出

高校生の時、となりのクラスのY君の家に、一度だけ遊びに行ったことがある。Y君とは特に仲がよかったわけではなく、どうしてそうなったのか思い出せないけど、とにかくぼくともう一人で(これが誰だったかも思い出せない)、放課後Y君の家へ行った。とても立派な家で、部屋にはギターとベースが何本か置いてあった。CDもたくさんあった。

Y君はいつもニコニコしている穏やかでハンサムな男だった。ビートルズが好きで、ギターがとても上手だった。ぼくも当時ギターを練習中だったので、Y君からビートルズの曲の弾き方を教えてもらった。Y君は教え方も上手だった。

ぼくがある程度弾けるようになったところで、Y君はベースを持ってきて、一緒に演ってみようと言った。そして「せーの」で音を出した時の快感を、ぼくは今でも鮮明に覚えている。ギター1本で弾いている時は何も感じなかったのに、Y君のベースラインと合わさった時、心が震えた。ビートルズすげえ!と思った。

するとY君のお父さんがやってきて「もう夜になるから止めなさい」と言った。ぼくはもっとやりたかったし、まだ夕方の5時ぐらいだったから、Y君が父親を説得してくれることを期待した。しかし、Y君は素直に従った。育ちがいいのだ。

このたった一度切りの合奏を、ぼくは今でも思い出す。本当にワクワクした。そしてあの時、もうひとりの友達は何をしていたんだろう?

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こどもと魔法

kodomotomahou

竹村延和さんの名盤
「こどもと魔法」を
小さな音で鳴らしながら
仕事に励んでいる
今日この頃です。

これを買った20代の頃は
この音楽の良さがほとんど
理解できていなかった。
でも今は、大好きです。
何回聴いても飽きない。

これほどピュアで
あざとさのない電子音楽は
なかなか無いのです。

かかってきた電話には
絶対出ないという
竹村さんのポリシーを
インタビューで目にして
さらに好きになりました。

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さかなのこ


映画「さかなのこ」は
笑えてじーんとくる良い映画でした。

良いらしいという評判は
聞いていたけど予告編で
のんさんが「ぎょぎょぎょー」
と言っているのを見て
なんだかなあと思っていました。
すみませんぼくが間違っていました。
のんさんが演じるさかなクン
最高でぎょざいます。

わかりやすさと説明を省いて
こっちに想像させる部分とが
ちょうどよくミックスされていて
変に盛り上げないのも良い。
ちょっとBGMに頼りすぎな
ところは気になったけど。

ぼくが好きなシーンは
アパートに転がり込んできた
シングルマザーの女性が
洗濯物を干すとなりで
子供がひとりクレヨンで
絵を描いているところ。
なんでもないシーンなんですけどね。
あとナイフ君もよかった。

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ディープ・パープル

昨日ディープパープルのことを書いたきっかけで、久しぶりにYouTubeで曲も聴いたら、心は一気に高校生時代へとタイムスリップした。音楽にはそういう不思議な力がある。BURN、SPEED KING、FIREBALL、数十年ぶりに聴いてちょっと目頭が熱くなった。ディープパープルってめちゃくちゃかっこよかったんだな。当時はロックの教科書に従って雰囲気で聴いていたけど、今になってわかった。めちゃくちゃかっこいいやん。


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うーん

家にひとりだった夜、映画でも観ようと思い、アマプラで「ケイコ目を澄ませて」を観ました。ところどころに映画的な雰囲気はあったけど、ぼくはイマイチ入り込めなかったなあ。ジムの会長は、役者の台詞をしゃべる役者にしか見えなかったし、主人公の心情があまり見えてこなかった。30分を残して観るのを止めたので、正しい評価は出来ないけど。

自分に合わなかった映画のことをいちいち書く必要があるのか、ないのか、きっとないですね。でも淀川長治さんも、嫌いな映画は嫌いとはっきり言っていたから、イマイチだった時はイマイチだったと書こう。チェンソーマンのマキマさんが言う通り、良い映画(自分にとっての良い映画)に出会える確率は本当に低い。だからこそ、出会った時は感動するんだけど。

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音楽

アニメーション映画の「音楽」を観た。
70分という長さで忙しい現代人でも
サクッと気軽に観られます。

古美術の森田がロン毛を振り乱して
ギターをかき鳴らす場面と
古武術の演奏に衝撃をうけた
森田の心象風景を見せる場面で
やられたー!となりました。

アニメーションにはまだ
こういう可能性があったんだなと
(ジブリやピクサーしか観ていないぼくが
ただ知らなかっただけかもしれないけど)
そういう風に思いました。
森田が最高です。

しばらく画面を見ていて
何かに似ているなあという
既視感がずっとあって
途中で「あ、北野武監督の映画だ」
と気づきました。

これをつくった人が
7年間ほぼひとりでコツコツ手描きで
4万枚の絵を描き上げたという事実に
グッときます。7年って長いよ。

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エミリー・ディキンソン

最近良い本に巡り合っていて
中でも『詩とは何か』が
特大ホームランでした。

詩人の吉増剛三さんが
いろんな詩人について
いろんな詩について
紹介して、語ってくれる、贅沢な本。
お値段たったの1,100円。
本ほどコストパフォーマンス
(という言葉はあまり好きじゃないけど)
がいいものは他にあり得ません。

おまえは詩が好きなんか?と言われると
好きなのかどうかよくわからないし
おまえに詩がわかるんか?と言われると
ほとんどわかってないけど
逆に「詩がわかる」なんて嘘くさいやろ。

吉増剛三さんが最も大切にしている詩人が
エミリー・ディキンソンという人で
大抵の人は知ってるんでしょうけど
ぼくは映画「パターソン」の中で
その名前をはじめて知りました。

そのシーンは大好きなシーンで
バスの運転手をしながら
詩を書いているパターソンが
同じく詩を書いている少女と出会い
ほんの数分間、話をするシーンです。

少女が自作の詩を読み上げ
それがとても印象的な詩だったので
パターソンはちょっとびっくりして
複雑な表情を浮かべながら
「良い詩だね」と言います。

別れ際に少女はぱっと振り返って
「エミリー・ディキンソンは好き?」
とパターソンに尋ねます。

「好きな詩人だよ」と答えると
「エミリー・ディキンソンが好きな
バスの運転手さん、クールね」
と言って少女は走り去ります。
良いシーンです。

そのエミリー・ディキンソンのことを
詩人・吉増剛三さんは
最も影響を受けた詩人として
この本の中で紹介しています。

アメリカの片田舎で
ほとんど家から出ずに
詩をだれかに見せることもなく
自分のためだけに詩を書いて
引き出しの奥にしまったまま
孤独のうちに亡くなった
エミリー・ディキンソン。

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