20年前の映画ですが、大傑作です。文化祭直前にボーカルが抜けてしまった女子高生バンドが、韓国人留学生のソンさんを急遽ボーカルにして、みんなでブルーハーツを練習する、ただそれだけの話だけど、過剰な演出やウソっぽさの無い、淡々と描く日常、ちゃんと練習したかと思えば、意味もなくグダグダする、要所要所にプロの役者じゃない人がいて、それがなんとも心地よく、一生懸命覚えた日本語で、ソンさんがまっすぐ歌うブルーハーツが胸に響き、何度でも観たくなります。
この映画は、嫌な気持ちになる場面がひとつも無いっていうのがミソで、大抵の映画は不幸を見せつけて、それを乗り越えるカタルシス!みたいな感じじゃないですか。それも悪くないけど、わざわざ娯楽のために嫌な気持ちになりたくないじゃないですか。リンダリンダリンダは、不幸なんていちいち見せず、語らず、ただほんのり幸せでありふれた日常を、ちょっと離れた場所から見せてくれるから、繰り返しの鑑賞にも耐えうる、最高の青春映画になっているのです。