岩波少年文庫、注文の多い料理店(宮沢賢治)の序文に、ぼくはすっかりやられてしまった。綺麗で、独特で、胸を打つ文章だ。巻末の高橋世織さんの解説文がまた、すばらしい。「わかる」とはどういうことなのか。わからないこととじっくり関わる、それは何のことだろうと想像力を働かせ、ありのままに感じ考えること。「本当の勉強をしていこうではありませんか」という高橋さんの言葉を、もっと若い時分に聞きたかった。
ある晩、子供が寝る前の読書タイムに「注文の多い料理店」を手にとった。お!と思ったけど、ぼくは何も言わなかった。子供は1ページだけ読んで、やっぱりまだわからんと言って、別の本と取り替えた。そうしてまたいつか手に取って、わからないことを楽しめたらいいね。