『遠い太鼓』(村上春樹)
ローマ、ギリシャ、ロンドン、いろんな国の、いろんな街で暮らした村上さんの文章を読みながら、ぼくも行こうと思えば、好きなところへ行くことができるんだよな、と思いました。だれにも鎖なんてないのだ。クレタ島の小さな村の食堂で、夕焼けを眺めている村上さんのところへ村の子供たちがやってきて、ちょっとカンフーやって見せて、カンフーできるんでしょ、と言う、村上さんは、もちろんできるよと嘘をついて、アチョーーとやってみせる、子供たちはやっぱりねという顔で満足して帰っていく、というエピソードが好きです。断崖絶壁のぐねぐね道を走るバスの運転手と車掌が、チーズ片手にワインを飲みはじめて酔っ払ってしまい、乗客にもワインが振る舞われ、走るバスの中で酒盛りがはじまってしまう、というエピソードも面白いです。さすが、経験レベルが違いますね。

