ぼくが通った高校は、2時限目がおわった後の休憩時間に、学食のパン売り場がオープンしていました。常に腹を空かせた高校生たちは、2時限目の授業中からぐーぐー腹を鳴らしながら、たまごパンのことで頭がいっぱいになっていました。そして授業の終わりを告げるチャイムと同時に、学食をめざしてすごい勢いで走っていくのです。ぼくも皆と一緒に走りたかったけど、たまごパンを目指して走る行為が恥ずかしくて、てくてく歩いて食堂へ向かいました。普段は物静かでまじめなM君が、この時ばかりは「たまごパン!」と叫びながら走っていくので、空腹というのは恐ろしいものだなと思いました。歩いて行くといつも、人気のたまごパンは売り切れていました。仕方がないので、ぼくはリョーユーのチーズデンマークをよく買いました。売り場のおばちゃんに「チーズノルウェーください」と、つまらない冗談を言いました。高校生とはそんなものです。

