中村勇吾さんのインタビュー記事を読んだ。
ぼくがまだ駆け出しのWEBデザイナーだったころ、中村勇吾さんがつくる革新的でかっこいいインタラクティブWEBサイトに憧れた。それと同時に、こんな凄いものは自分にはとても作れないと、心を何度も折られた。
つくることが大好きな中村さんも、年齢を重ねて大御所となり、つくる人から、つくらせる人へ、少しずつシフトしていった。でもやっぱりつくることが好きで、指示や割り振りは自分のやりたいことではないと再認識し、今はまた「つくる人」に戻っている。
記事を読んだあと、自分が15年前にどうしてWEB制作会社を辞めようと思ったのかを思い出した。それは、役割がウェブデザイナーからディレクターへと変わり、自分の手を動かしてつくることが無くなってしまったからだった。
年齢と経験を重ねてディレクターになることは業界的に当たり前のことで、ぼくもその変化を受け入れていたつもりだったけど、やっぱり「つくる人」に戻りたくなった。
そんな時、鎌倉のWEB制作会社カヤックのWEBサイトを見た。「つくる人を増やす」という企業理念に心を動かされた。会社を辞めたあとひとり鎌倉へ行き、カヤックの面接を受けた。結果は不採用だった。残念だったけど、なぜかホッとした。
少しだけ鎌倉市内を観光して、長谷観音を見た。お金がなかったから夜行バスで帰った。バスの中でぼくは、一人でやってみようかな、と考えていた。