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本のこと

今月の3冊

■灯台へ(ヴァージニア・ウルフ)
■エクソフォニー 母語の外へ出る旅(多和田葉子)
■約束された場所で(村上春樹)

「灯台へ」というタイトルと、ヴァージニア・ウルフっていう作家名から、もう名作の匂いしかしない。きっと良いに違いない。

外国語で書かれた文学を別の言語で書くことは、もはや創作だろうと思います。菅啓次郎さんが「翻訳の詩学」という言葉を使っていて、もとの言語から離れて別の言語で表現されるとき、いったん死にかけた言葉が生まれ変わり、そこにあたらしい詩が宿る、みたいなことを言っていた。なるほど。そんな翻訳の詩学について書かれた本として、多和田葉子さんの本が紹介されていたので買ってみました。

村上春樹さんの「約束された場所で」は、オウム真理教の信者の方に、村上さんがインタビューをした本。地下鉄サリン事件の被害者側を取材した「アンダーグラウンド」のほうが有名だけど、そっちはまだ読んでいません。

村上ファンとして、オウム関連本を執筆していたあの時代を、ぼくは完全にスルーしてきました。ちょっと否定的な目で見ていました。そんなことやっていないで、普通に小説を書いて欲しいと思っていました。でも最近になって、なぜ村上さんがあんなに熱心に取材をして、本を書いたのか、それを知りたくなりました。

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なぜかというに

人間の土地の第5章、よかったなあ。特別なストーリなんて何も無いのに。古い家の様子、家人の様子、食卓の様子、それらがただ描かれているだけなのに。でもそこにはすばらしい文章がある。作者のサン=テグジュペリさんはもちろん、翻訳者の堀口大學さんも素晴らしいな!ぼくは翻訳なんて出来ないけど、それがいかに難しいかぐらいわかります。特に文学作品の翻訳は。

映画パターソンのラストシーンで、永瀬正敏さん演じる詩人が「詩の翻訳はレインコートを着てシャワーを浴びるようなものだ」と言います。真実かもしれない。でも原文を読むことができないぼくは、堀口大學さんが訳してくれた文章を浴びるしかないわけで、原文を知らないぼくは、レインコート越しではなく、裸に直で浴びているつもりです。そして「訳す」なんて軽く言いたくないなあ。文学作品の根幹である文体は、堀口大學さんのものなんだから。ぼくが好きな言い回しは「なぜかというに」です。『お世辞もきかなかったはずだ、なぜかというに、彼女たちは、虚栄を知らないのだったから』という具合に。

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人間の土地・第5章「オアシス」

著作が少ないサン=テグジュペリだから、読み終えるのがもったいなくて第4章で止めていた「人間の土地」の読書を再開しました。読書感想文は本来1冊読み終えてから書くべきだけど、いま、第5章を読み終えたばかりのこの興奮を、いま書き留めておかないと忘れてしまうから。わずか11ページしかない第5章に感動した!(小泉純一郎氏が土俵で叫んだあの感じで再生してください)。不時着したアルゼンチンの村で、古いお屋敷に泊めてもらった晩のエピソードがめちゃくちゃいい。床に穴が開いていることを説明したり言い訳したりしない家人の精神、それを理解して好むサン=テグジュペリの感覚。それを読んでいる令和時代のぼくも、本の中で彼らと静かに繋がった!そういう感覚がありました。人間の土地は宮崎駿さんも好きな本で、それは飛行士が主人公というせいもあるけど、きっとこの第5章のことも駿さんは好きに違いない。確信があります。

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今月の3冊

今月の3冊。

■老人と海(ヘミングウェイ)
■本の虫二人抄(古田一晴・劉永昇)
■僕の歩き遍路 四国八十八ヶ所巡り(中野周平)

手元にある「悲しき熱帯」が
ぜんぜん進んでないけど
そこは無視して今月も3冊購入。
決めたことは可能な限りやり続ける。
そんな自分にシビれます。

本の中にたった一行でも
自分の心に響く言葉があれば
ぼくはそれだけで
その本を買った意味があると思う。

たった一行のために1500円は高い?
たったひと言で人生が変わることもアルヨ。

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スモーク・オン・ザ・ウォーター

レヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」が相変わらず進まない。妻から「最近その本よく読んでるね」と言われるくらいには読んでいるはずなのに、まだ110ページしか進んでいない。あと650ページも残ってるぞ。完読するのはいつになるんだ?レヴィ=ストロースはこの本を、47歳の時(ぼくと同じ年齢だ!)たった4ヵ月で書き上げたらしい。これまでに集めてきた断片を、時間軸を無視して一気におりゃーと書いたらしい。難しい人が、難しいことを、難しく書いて、しかも編集していないとなると、ぼくのような凡人が読むのに苦労するのは当然だ。

高校生の時、通信講座でギターを練習した。月に一度カセットテープと教科書が送られてきて、テープの音に合わせてギターを弾いた。その通信講座の方針は「あえて難しいフレーズを先に練習することで、それよりも易しいフレーズが楽に弾けるようになる」というものだった。たしか2回目か3回目くらいの講座で、いきなりスモーク・オン・ザ・ウォーターのあの有名なギターソロを練習させられた。繰り返し繰り返しやったけど弾けなかった。結局弾けないまま、次の教材が届いた。次に取り組むギターソロはスモーク・オン・ザ・ウォーターよりもゆっくりで単純だった。ぼくの指は自分でも意外なほど動き、割とあっさりマスターすることができた。その成功体験は、ぼくの人生に大きな影響を与えた。「悲しき熱帯」のような難解な本に向き合う時、いつもスモーク・オン・ザ・ウォーターを思い出す。

という記事を書いて公開したあと、スモーク・オン・ザ・ウォーターのソロってどんなだったっけ?と思って久しぶりに聴いたら、割と簡単そうなソロだった。あれ?そうだ、スモーク・オン・ザ・ウォーターじゃなかった、ハイウェイ・スターだ。間違えた!

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いい匂いのする方へ

来月の3冊です。
ちょっとフライングしました。

■悲しき熱帯2(レヴィ・ストロース)
■ガザに地下鉄が走る日(岡真理)
■いい匂いのする方へ(曽我部恵一)

「悲しき熱帯」はまだ1のほうを
半分も読めていない。
なぜか?難しいから!

必死に文字を追うけど全然入ってこない。
しかしこのまましがみついていれば
どこかへ連れて行ってくれるという
予感だけはビリビリと感じています。

「ガザに地下鉄が走る日」は
パレスチナ問題のことを
知りたいと思い手に取りました。
まさに今読んでいるけど
まだ上手く言葉にできません。
ぼくは本当に何も知らなかった。
この本については、また改めて。

「いい匂いのする方へ」は
サニーデイサービスの曽我部さんが
書き下ろしたエッセイ本。良い!

あえて推敲しないデモテープ状態のまま
出版したという曽我部さんの文章は
とても正直だ。大丈夫?と
心配になるぐらい正直だ。
だからとても信用できる。

信用できる文章というのはあります。
たとえば芸人さんが書いた本は面白いけど
彼らはつい文章で笑わせようとするし
読み手へのサービス精神が時に過剰になって
どこか嘘っぽい空気が漂う。

たったひとつでも
嘘っぽさがあると
全部がダメになる。
それは我々の仕事にも
言えることなんですけどね。

曽我部さんのこの素敵な本は
MARUZENの「芸術」の棚に挿さっていて
いわゆる歌手やタレントの本と
一緒に並べられていた。

分類として正しいんだけど正しくないような。
もしエッセイというコーナーがあるなら
そっちのほうが良いんじゃないかな。
じゃないとファンしか手に取らないですよね。
ぼくは検索機のおかげで見つけられました。

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つくることについて


吉増剛造さんの本「詩とは何か」は
吉増さんが詩とはこういうことですよと
やさしく教えてくれるわけではなく
ぼくたちの日常にふっと現れる
言葉にはできない詩的な何かを
懸命に探っていく本です。

だから詩に限らず
いろんな分野に話は及ぶし
あのジミヘンまでもが
詩的な対象として語られていて
とても面白い。

ネットレビューを覗いてみると
「結局、詩とは何かが書かれていない」
という低評価レビューを見つけて
ズコーっとなりました。

吉増さんはこの本の中で
芸術とは作品よりもむしろ
そこへ辿りつくまでの道程にこそある
というようなことを言っていて
ぼくは「はっ!」となったわけですが
音楽家のジム・オルークも
全く同じようなことを言っていて
作品なんて捨てていいとまで言っています。
言うだけで捨てていないと思いますけど。

先日読んだ松本大洋さんの
東京ヒゴロという漫画にも
作品を完成させて評価されることより
作るためにもがいた道程の中にこそ
喜びがあると書かれてありました。

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本を買う人の言い訳として

今月の3冊。

■タコの心身問題(ピーター・ゴドフリー・スミス )
■国境を超えるためのブックガイド50(小川忠)
■万延元年のフットボール(大江健三郎)
■夕べの雲(庄野潤三)
■うんこ文学(頭木弘樹・編)
■悲しき熱帯(レヴィ・ストロース)

あれ、MARUZENを彷徨っているうち、気が付くと、6冊もカゴの中に入っていた!

「タコの心身問題」によると、タコには心(意識)があるらしい。昔、夜釣りをしていると、ルアーにタコが引っかかってきたことがある。暗闇で見るそれは、まるで地球外生命体のようだった。不思議な生き物だ。

庄野潤三作品は「プールサイド小景」「ザボンの花」に続き3冊目。ぼくの好きな、何も起きない日常文学。寝る前にちょこっと読んで、ほっこりしてから寝るのだ。

「うんこ文学」は、うんこを漏らしてしまった悲しみを綴った文学作品のオムニバス。先日うっかりこれを持ったまま定食屋へと入ってしまい、しまった!と思って慌てて隠した。読む場所を選ぶ危険な本だ。でも面白い。

ぼくがブックガイドとして信頼している「本は読めないものだから心配するな」の中で、著者の菅啓次郎さんは、本に「冊」という単位はないと言っている。本は物質的に完結しているフリをするけど騙されるな、すべての本はつながっている、というわけ。

あっちを読んだり、こっちを読んだり、本から本へ、その日の気分で、流れるように読んでいく。そのためには、未読の本を積み上げておく必要があるのだ。(本を買う人の言い訳として)

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すべての「つくる人」へ

東京ヒゴロ3巻が届きました。発売日に届きました。Amazonの物流システムに感謝です!(結局Amazon様には逆らえませんなあ)そして結論から言わせていただくと、東京ヒゴロ3巻は最高でした。一話目から震えました。一巻、二巻、ずっと良かったけど、この三巻で、これまで丁寧に紡いできた物語がスパークして(と言っても表現は地味でリアルですばらしい)たましいがブルブルします。こんな漫画が1705円で読めていいんですか?もはや漫画というより、上質な映画を観終えた気分です。とても映像的です。いや、ぼくは漫画を知らないから、塩澤さんに言わせれば、本物の漫画は映画に比肩しうる、または超えるものなのかもしれません。ね、塩澤さん!

カテゴリー: 本のこと 2件のコメント

3巻がない

ドラえもんの3巻が売っていない。
1巻から順番に買っていって
いま6巻まで揃っているけど
3巻は歯抜けのままです。

よし、今日はドラえもんを
買ってあげようと思って
書店へ行くとなぜか決まって
3巻だけがない。

「禁書になってるんじゃない?」と
冗談めかして妻は言うけど、まさかね。
3巻のジャイアンだけ狂暴が過ぎて
今の時代的にアウトになったとか?

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