小さなデザイン事務所のまじめなホームページ制作

本のこと

ニワトリと卵と、息子の思春期

ニワトリと卵と息子の思春期

ゲームを買ってとねだる小6の長男
その要求を拒む写真家の母
ある日突然、長男が
「ゲームの代わりにニワトリ飼わせて」
と言ってはじまる親子と鶏の物語。

長男の目的は
ニワトリの卵を売って
お小遣いを稼ぐこと。
そして最後は絞めて
食べるところまで計画する。
小6の少年が、すごすぎる。
果たしてその結末は。

親子のこと、生死のこと、お金のこと
人生のぜんぶが詰まっていて
とても面白かった。
時折挟まれる写真も素敵です。

思春期の子供ってこんなに大変で
こんなに眩しいものなのか。
自分の子供にもいずれ
思春期が来るんだよなあ。
(うまく対応できるかな)

ニワトリがはじめて卵を産んだ日
読んでる自分もぽろっと
涙が出そうになりました。

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コム・デ・ギャルソン工場

村上春樹さんの本はほとんど
持っているつもりだったけど
ふらっと立ち寄ったMUJIBOOKSで
目に留まった「日出る国の工場」
そういえば持ってないかも
いや持ってるかな?
ぱらぱらぱら・・・
やっぱり持っていなかった。

例によって安西水丸さんの
素敵な挿絵が付いています。

ぼくは水丸さんの仕事の中では
「村上朝日堂はいかにして鍛えられたか」
の挿絵がいちばん好きです。
フォルムも線の太さも抜群にいい。
「日出る国の工場」の挿絵も
なかなか素敵でした。

村上さんによる工場見学記も面白くて
コム・デ・ギャルソンの工場を取材する話は
それだけでこの本を買う価値がある。

村上さんが川久保玲さんのことを
語っているのがとても興味深く
あのコム・デ・ギャルソンの服を
町の職人さんが自宅の2階で
奥さんと共に縫製している事実には
ちょっとした興奮を覚えます。

この本が書かれたのは1986年だから
今はもうそんなこじんまりとした
生産体制ではないんだろうけど。

ちなみにぼくは20代の頃
一度だけコム・デ・ギャルソンの服を
買ったことがあります。

それは生地の薄いシンプルなニットで
たしか2万円ぐらいしたと思います。
酔ったアルバイト仲間に
袖口を雑に引っ張られて
本気で腹を立てました。

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ヘタの美学



美術手帖の五木田智央特集。
ぼくは作品を見るのも好きだけど
作り手の制作環境や考え方
趣味趣向を知ることも好きなので
この手の特集ものに手が伸びます。

ずっとヘタになるために
努力しているという五木田さん。
ヘタウマの元祖・湯村さんの
影響を多大に受けていて
有名なモノクロシリーズを辞めたのは
上手くなりすぎたからだそう。

インタビュー記事でなるほどと思ったのが
「ヘタに描くことが重要ではなく
ヘタの面白さを感じ取れる『目』を
持っているかどうか」という話。

描く人、つくる人は
目の修練こそが最も大事で
それがいわゆる「センス」
というものに繫がるのでしょう。
だからたくさん見ないといけないのだ。

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地球の底に潜る



広島へ行った帰り道
岩国にある地底王国
「美川ムーバレー」に行ってきました。
鉱山跡地をレジャー施設にした場所です。

行く前はそれほど期待せず
ひょっとしたら子供が喜ぶかな?
程度に考えていたんですが
行ってみると大人も興奮できる
たのしい場所でした。

ホンモノの鉱山跡地だから
暗くて長い道の頭上から
ぽたぽたと水滴が落ちてくるし
抗夫たちが使っていた本物のトロッコが
そのままのカタチで残されています。
レールの先は果てしない暗闇。
コウモリも飛んでいました。

夏目漱石の小説「抗夫」を読んだとき
地球の底へ底へと降りていく描写は
まるで地獄に落ちていくような怖さがあり
強く印象に残りました。

その時に想像していたイメージと
美川ムーバレーの景色が
ぼくの頭の中でリンクして
ちょっとした感動を覚えました。

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螢・納屋を焼く・その他の短編

納屋を焼く

自分といっしょに引っ越しも経験して
紙の色も変色したボロボロの文庫本って
いいですよね。

そういう本は不思議と
紙から甘くていい匂いがします。
中古で買った本の匂いは好きじゃないけど
(特にブックオフの本の匂いが嫌い)
自分で長い時間をかけて
育てた本の匂いは好きです。

村上春樹さんの
「螢・納屋を焼く・その他の短編」を
先日ひさしぶりに読み返しました。
これもかなりボロボロです。

収録されている短篇はぜんぶ良いけど
「めくらやなぎと眠る女」が特に良い。

仕事をやめたばかりの主人公が
耳の聞こえづらい従弟の中学生と
いっしょにバスに乗って病院へ行く
ただそれだけの話ですが
ふたりの会話とその情景が
詩的でとても良いのです。

ぼくは「パターソン」のように
何も起きない静かな映画が好きで
この短篇はまさに何も起きないスロー小説。

しきりに「いま何時?」と聞く
従弟の中学生がいいのです。
バスに乗る前、渡された小銭を
大事そうにぎゅっと握る場面
いいんだよ。

自分の子供がいま4歳で
もしかしたら今がいちばん
可愛い時期なのかなと思っていたら
中学生の息子を持つ人が
「今もずっと可愛いよ」と言っていて
安心したことを思い出しました。

この短篇は村上さんが
34歳の時に書いた初期の作品です。
安西水丸さんが描いた
表紙の絵と題字も好きです。

ちなみにこの題字
電話で本のタイトルを聞かされた水丸さんが
その場でさっとメモに書いたものだそう。
その後たくさん清書したけど
メモ書きのこれが一番良かったんだって。

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悪霊

悪霊

ついに悪霊を読み終えました。
カラマーゾフ以上に読みづらく
上巻はとにかく苦痛でした。

いったい何の話を読まされているのか
よくわからないまま
修行のような気持ちで上巻を読み終え
下巻の中盤あたりで
やっと何かが見えてきて
終盤はただただ圧倒されました。

すべてがわかった後にもう一度読み返すと
あんなに退屈だった上巻もすごく面白い。
すごいぜ悪霊。
ぼくはカラマーゾフよりも
悪霊のほうが好きかもしれない。

ネットで悪霊ファンの声を読み漁ると
だいたいみんな読むたびに面白くなる
と言っています。本当にその通りです。
映画でもそういうのありますね。
初見は??だけど、中毒性の高いやつ。
ブレードランナーとか3-4X10月とか。

シャートフ、キリーロフ、
ステパン先生、ワルワーラ婦人、
登場人物みんなが魅力的で
ドストエフスキーはキャラひとりひとりに
ちゃんと「心」を持たせている気がします。

そのせいで読みづらく
難しいんじゃないかな。
だって人の心が一番わからないから。

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アートの楽しみ方を子供から学ぶ

ドイツの写真家 ヨヘン・レンペルトの
「FieldGuide」という
小さな写真集があります。

すべてモノクロで、動物や虫、
植物などをユニークな視点で
切り取った素敵な写真集です。

夜、子供を寝かしつけるとき
絵本を1冊読むのですが
ある日子供が「FieldGuide」を
持ってきました。

ぼく「これは絵本じゃないけん面白くないよ」
子供「これがいい」

仕方がないので
一緒に布団にもぐりこみ
ページを開きました。

子供は先入観のまったくない心で
生き物のカタチを面白がったり
左右の写真で間違い探しをはじめたり
これはあれに見える
この模様キレイだね
と純粋に写真を楽しんでいて
ぼくはちょっと感動してしまいました。

ヨヘン・レンペルトさんがその光景を見たら
「そうそう、そういうことなんだよ」
と言うと思います。


ヨヘン・レンペルトの「FieldGuide」

ヨヘン・レンペルトの「FieldGuide」

ヨヘン・レンペルトの「FieldGuide」

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東京ヒゴロの主人公がちょっと自分に似ている?

東京ヒゴロ

松本大洋氏の漫画を
こよなく愛するカメラマン黒川さんが
「東京ヒゴロいいですよ、
主人公が原田さんに似てるんです」
と言うので、気になって購入しました。

うん、いい。
絵の魅力は言わずもがな。
話も地味でとってもよかったです。

漫画を描くことをやめた
嵐山先生を訪ねた翌朝、
朝日がさしこむバス停で、
まっすぐ左手をあげる塩澤さんと
バスを描いたひとコマが、
とても好きでした。
これもう映画やん。

まだ1巻が出たばかりで、
これからどう展開するのか。
たのしみがまたひとつ増えました。

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深瀬昌久伝

深瀬

写真集「鴉」を見ていくうちに
写真家の深瀬昌久さんが
どんな人間だったかを知りたくなり
昨年の12月に出版された
「深瀬昌久伝」を買って読みました。

深瀬さんの助手を長年つとめた瀬戸正人さんが
当時のことを振り返りながら書いていて
純粋に読み物として面白かったです。

やっぱりというか
写真から感じるとおり
深瀬さんは大変に
変わった人だったみたいです。

この本の中での深瀬さんは
いつも酔っぱらっているので
その変人ぶりが本来の性質なのか
それともアルコールのせいなのか
そこはちょっとわかりません。

いつも写真家仲間に囲まれていて
写真集から感じられるような孤独は
(表向きには)なさそうです。

というか「自身の孤独を写しだした」
という評論は安易で嫌だし
だいたいみんな孤独でしょ。

すごく不思議なのが
当時の深瀬さんはたいした仕事もなく
いつも共同事務所でごろごろして
夜はお酒を飲みに行っているけど
飲みに行くお金はどうしていたんだろう?

写真だってお金がかかるのに
フィルム代はどうしていたんだろう?
謎です。

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鴉とカー

ひさしぶりに本屋青旗へ行ってきました。
中山信一さんの絵本「うそ」が好きな妻は
原画展が青旗であると知り興奮していました。
それでぼくも一緒に行ったというわけです。

原画展はとても良かった。
こんなことを言うのは
よくないのかもしれないけど
絵本の100倍良かった。

原画は絵を切り貼りして重ねたり
汚れがそのまま残されていたり
絵柄自体はシンプルなタッチだけど
アナログならではの質感が合わさって
とても良い感じでした。
やっぱり原画はいいね。

ついでに本を2冊買いました。
ひとつは佐々木俊さんの「CAR(カー)」。


佐々木俊さんのCAR(カー)


ぼくはデザイナーでは
服部一成さんのことが好きですが
佐々木さんは服部さんの影響を
すごく受けていると思います。

というか最近のグラフィックデザイン界
服部さん風のヘタウマデザインが
流行ってるんですかね?
よく見るような気がします。

もう1冊は、深瀬昌久さんの「鴉」。


深瀬昌久さんの鴉


有名な写真集なので
ご存じの方も多いと思いますが
ずっと見たくてようやく手に入れました。

写真集ってだいたいどれもお高いけど
これもやっぱりなかなかのお値段で
「どうしようかなあ」とウロウロしていると
妻から「私がおるけん悩むふりしよっちゃろ」
と言われました。鋭い・・・。

映画や絵画でよく
好きとか嫌いとか
分かるとか分からないとか
そういうのとは関係なく
イメージが脳にベッタリとくっついて
離れないことがありますけど
この写真集はまさにそれでした。

鴉を撮った写真はどれも不気味でカッコいいし
突然差し込まれる鴉以外の写真がまた良くて
写真家の村越としやさんも
「鴉じゃないものを撮った写真が好きだった」
と何かのインタビューで話していました。
この女学生のなびく黒髪も鴉なんですね。

そして、鴉と(カー)を
たまたま一緒に買った奇跡に
いま気がつきました。

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おうち美術館

現代世界美術全集

図書館に「現代世界美術全集」という
大きな画集がずらっと並んでいて
その中からゴーギャンを借りて帰りました。

1970年に出版されたそれは
びっくりするほど印刷の質が良く
サイズが40cmもあるので
絵の迫力がすごいのです。
定価は1冊4,000円。
今このクオリティでつくったら
1万円以上はすると思います。

そんなことを考えながら
何気なくネットで検索すると
なんとこの現代世界美術全集が
10冊セット2,700円で某オークションに
出品されていて目を疑いました。
だって1冊あたり270円ですよ。
少年ジャンプじゃないんだから。

どうやらこの全集は大きすぎるせいで
あまり人気がないみたいです。
ブックオフで1冊100円で
買った人もいるそうです。
モノの価値ってわからんな。

もちろん10冊セットを落札しました。
モネ、ゴッホ、ゴーギャン、
ボナール、マティス、モディリアーニ。
巨匠たちの絵を大きなサイズで
じっくり見られる幸せ。
ぼくはボナールが好きになりました。

帯にはあの猪熊弦一郎さんが
こんなコメントを寄せています。

「これは居ながらにして世界の名画を
自分のものにし得る家庭の美術館だ。
解説も最高でこんな美しい出版物に
親しめる現代の人々は幸せだ」

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服部一成さん、ポール・コックスさん

2020年に買って印象に残ったデザイン本

今年買ったデザイン本の中では、
この3冊が印象に残っています。

『ポール・コックス デザイン&アート』は
ちょいちょい本棚から
引っ張り出してきて眺めてます。
ぼくは他人のアトリエ写真を見るのが好きで
無数のデザイン本を
無造作に積み上げている
ポールさんのアトリエに憧れます。

『服部一成100ページ』は
ずっと探していてようやく手に入れました。
服部さんが手掛けた多様な
広告・グラフィックが載っていて最高です。

ぼくはデザイナーの中では
服部一成さんが好きなのです。
キューピーマヨネーズの広告の
ラフな手描き文字に影響を受けました。

服部さんの考え方にも
ぼくは影響を受けていて
『文字講座』という本に書かれた
服部さんの言葉にはシビれました。

「デザインは手段にすぎないんだけれども、
しかし手段を超えたなにかがなければ
デザインは輝かない。
意味を伝えるために存在していながら、
意味を超えて輝くことを、
だれもが無意識に期待している」
(文字講座 115Pより)

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カラマーゾフの兄弟

カラマーゾフの兄弟

カラマーゾフの兄弟、上中下3巻、約2000ページ、あのドストエフスキーの大作を、ついに読み終えました。「世の中には二種類の人間がいる。カラマーゾフの兄弟を読破したことのある人と、読破したことのない人だ」と言ったのは村上春樹さんですが、ぼくは読破したことのある人の仲間入りをしたわけです。

結論からいうとめちゃくちゃ面白くて、下巻の最後のほうを読みながら、ああ、もうすぐ終わってしまう、という寂しさを感じながらも、ページをめくる手が止まらない、そんな感じでした。こんなに充実した読書体験は久しぶりです。頭の中でカラマーゾフの世界が出来上がり、ロシアの風景や個性的な人物たちの顔が、映像として脳にしっかりと刻まれ、いまだその世界から抜け出せていません。

ぼくは長男のミーチャ(ドミートリィ)が好きでした。乱暴者でめちゃくちゃだけど、正直でウソをつかない誇り高い男。もっとミーチャのことを見続けたかった。上中下じゃ足りん。

確かに難解な部分はありました。それを本当の意味で理解できたかどうかはわからない。でもそこから何かを感じとることはできた。映画も小説も、それが大事です。すぐにわかってしまうものなんて、すぐに役に立たなくなる。そういうもんです。

次男のイワンが語るキリスト教や神のくだりは、とても人間が書いたとは思えない凄みがありました。ドストエフスキーさんも凄いけど、翻訳者の原卓也さんもすごい。きっとまたいつか読み返すとおもいます。そのたびに新しい発見があるはず。間違いなく、これまでに読んだ文学作品の中でトップ5に入ります。

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本、ほん、ホン

どんなに忙しくても、本は読んでいます。以前は、ひとつの本を読み終えてから、次の本にとりかかるという正統派読書スタイルでしたが、最近は同時に複数の本を読むスタイルになりました。

ちなみにいま読んでいるのは

たましいの場所(早川義雄)
カフカ短篇集(池内紀編訳)
銀の匙(中勘助)
新しい人の方へ(大江健三郎)

です。漱石の草枕、梶井基次郎の檸檬、カラマーゾフの兄弟も控えています。そう、ついにカラマーゾフを読む覚悟を決めたのです。

早川義雄さんの「たましいの場所」は、本当の気持ちが書かれていて良いなあ。SNSで書いたらきっと叩かれることも書いてあるけど、それが正直な気持ちだってわかるから、読んでいて心に響く。SNSなんて嘘だらけやもんね。

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小さなユリと

小さなユリと

なんと・・・

取材の帰りに立ち寄った蔦屋書店、特に何かを探すでもなくぼんやり詩集コーナーを見ていたら、黒田という文字がパッと目に入って、ん?黒田?薄い背表紙のちいさな文字をよーく見ると「小さなユリと」って書いてある。

ネット上から姿を消したと先日ブログに書いたばかりの本に、まさかこんなに早く出会えるとは。とてもうれしい出来事でした。

妻の入院中、3歳の娘ユリとのふたりきりの日々を綴った、黒田三郎さんの詩集。どの詩も温かくて、正直で、じんわりと心に染み入ります。最期を締めくくる「小さなあまりにも小さな」が、ぼくは特に好きです。

夏葉社さんの本はどれも丁寧につくられていて、紙の質感やサイズ感も手に心地よく、物質としての魅力も大きい。詩の題名だけがポツンと書かれたページをめくって詩がはじまる。ひとつひとつの詩に対する、作者に対する、敬意が感じられます。

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早く家へ帰りたい

早く家へ帰りたい

夏葉社から出ている詩集のうち、この「早く家へ帰りたい」と「小さなユリと」をいつか読もうと思っていたら、「小さなユリと」が暮らしの手帖に掲載された影響で、ネット上からあっという間に姿を消しました。

それで慌てて、こちらを手に入れた次第です。障害をもって生まれ、わずか4歳で亡くなってしまった子供との日々が綴られた、高階杞一さんの詩集。悲しいんだけど、子供を思う温かい気持ちが溢れていて、とても感動します。

子供と遊んでいて、しつこく「もう1回、もう1回」と繰り返されると、うーんキツイ・・・となり、「じゃあこれで最後ね」と切り上げてしまいがちですが、もっとできるかぎり応えてあげなくては、と思いました。

もしそれが本当に、最後になってしまったら、と考えると。

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ブックオフ大学ぶらぶら学部

ブックオフ大学ぶらぶら学部

ブックオフが好きです。

いやいや、もういい大人なんだから、本ぐらい新品で買いなさいという意見はごもっともです。もちろん書店やネットで新刊も買います。しかし、ブックオフでしか味わえない楽しさや喜びがあるのだ。

110円の均一棚から「え!これが110円?」を見つけだす楽しさ。ずっと気になっていた本を見つけて「まさかお前がブックオフにいるとは・・・」という驚き。きっと定価じゃ買わないけど110円だから買っとくかという非常に失礼な気持ちで買った本が当たりだった時の喜び。

たぶん、目利き店主の古書店だとこういう楽しさはなくて、玉石混淆なブックオフだからこそ味わえる楽しさです。欲しい本はほとんど無い。だが見つけたときは即勝利。それがブックオフ。

夏葉社さんのサブレーベル岬書店から出た「ブックオフ大学ぶらぶら学部」を読みました。いろんな人のブックオフ愛が溢れていて、とても面白かったです。

これを読んだら今すぐブックオフに行きたくなります。

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詩的な写真

ロバート・フランクの名作
「THE AMERICANS」の良さが
わかるようになった。
写真にも詩的な表現
があることを知った。
見れば見るほど好きになる。

いまの一番の興味は
写真集を見ることです。
好きな映画を見るように
好きな写真集を見る。

静かに眺めるのも良いし
ヘッドホンで音楽を
聴きながらページをめくると
うまくいけば「自分のための映画」
を観ているような感覚が
味わえたりもします。

日本には写真集を買う習慣がない
と誰かが言っていました。
みんなすぐにiPhoneで
パシャパシャ撮って
写真が大好きなはずなのに
買う習慣がないのは不思議です。

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何度も読みたい広告コピー

何度も読みたい広告コピー

仕事をしながら
ぱっと手にとれる場所に
置いてあるデザイン書。

「何度も読みたい広告コピー」も
そこに置いています。

最近ホームページをつくりながら
言葉の重要性を強く感じます。
まず言葉があって
それを補うために
デザインがある。

「何度も読みたい広告コピー」には
有名なコピーがたくさんのっています。
この本の優れたところは
コピーを書いた制作者の想いや
制作秘話が載っていることです。
これがぐっとくるのだ。

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東京百景とアルバイト時代

東京百景

ピースの又吉さんが
芥川賞をとる前に書いた
エッセイ集「東京百景」。
又吉さんの人柄が文章から
にじみ出る素敵な本です。

主に売れない芸人時代のことを書いていて
彼は実に様々なアルバイトを経験しています。
アルバイトのエピソードが出てくるたびに
心は過去の自分へとタイムスリップします。
ぼくもホームぺージ制作の道を見つけるまでに
長いフリーター時代があったから。

コンビニエンスストア
カラオケボックス
居酒屋、カレー屋
パチンコ店、配達
物流倉庫の仕分け
レンタルCDの加工
祭りのテキヤ
いろんなバイトをやりました。

だから又吉さんが芸人として売れず
アルバイトをしていた時の気持ちが
よくわかるのです。

100個あるエッセイの中で
「池尻大橋の小さな部屋」
という話が一番好きです。

ドン底の時に出会った彼女との日々。
又吉さんを献身的に支える
とても明るかった彼女が
少しずつ明るさを失っていく話。
せつない気持ちになるけど
読後はじんわり温かい。

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