写真集「鴉」を見ていくうちに、写真家の深瀬昌久さんがどんな人間だったかを知りたくなり、昨年の12月に出版された「深瀬昌久伝」を買って読みました。深瀬さんの助手を長年つとめた瀬戸正人さんが、当時のことを振り返りながら書いているんですが、純粋に読み物としてとても面白かったです。
やっぱりというか、写真から感じるとおり、深瀬さんは非常に変わった人だったみたいですが、この本の中での深瀬さんはいつも酔っぱらっているので、その変人ぶりが本来の性質なのか、それともアルコールのせいなのか、それはちょっとわかりません。
日常は写真家仲間たちに囲まれていて、「鴉」から感じるような孤独は(表向きには)なさそうです。というか「自身の孤独を写しだした」なんていう評論はなんか安易で嫌だし、だいたいみんな孤独でしょ。
とても不思議なのが、当時の深瀬さんはたいした仕事もなくいつも共同事務所でごろごろして、夜はお酒を飲みに行っているんですが、飲みに行くお金はどうしてたんだろう?写真だってお金かかるのに、フィルム代はどうしてたんだろう?謎です。