小さなデザイン事務所のまじめなホームページ制作

本のこと

古くてあたらしい仕事

夏葉社という出版社を、たったひとりで経営している島田潤一郎さんの本「古くてあたらしい仕事」を読んだ。島田さんはぼくと同じ1976年生まれ。編集も営業も事務も発送作業も、すべてひとりでやっている。

つくっているのは年に3冊ほどの本。マーケティングとかではなく、自分が心から良いと思える本を、妥協することなくつくる。具体的なだれかをおもってつくる。売るための過激な言葉を嫌い、できる限り静かで、地味な本をつくる。美しい本をつくる。

本ができたら、全国各地の書店を自分の足で訪ね、一軒一軒、営業する。夏葉社の本を良いと思ってくれる書店員さんとの一対一の関係を、島田さんはとても大事にする。

島田さんは「小さな仕事を長く続けるためのコツのようなものがあるとすれば、それは手間暇のかかった、具体的で、小さな声によりそったものだ」と言う。同じくひとりで小さくやってきたぼくにとって、共感できる言葉だ。早速、夏葉社の本を1冊買った。ホームページもシンプルで良い。

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そして究極のサービスが生まれた

京都にある善行堂という古書店。本好きの人には有名なお店だそうです。善行堂さんをネットで調べると、とても素敵なたたずまいで、だけどここの扉をガラガラっと開けるのは、結構勇気がいるかもなあと感じるほど、オーラが写真に漂っています。でもツイッターを見ると、すごく気さくな感じです。フォローをすると、善行堂さんもフォローしてくれました。

いまコロナの影響で、本屋さんも休業するところがどんどん増えています。善行堂さんも、2週間前から休業されています。店主の山本さんは、お店を閉めるのは勇気がいるし怖い、とつぶやいていました。そんな中、山本さんは「善行堂倶楽部」というサービスをはじめました。これはお客さんの予算と好みに合わせて、山本さんが本を選んでお届けするというサービスです。

ツイッターを見ると早速注文が入っていて、なんとも良い味わいの本たちが届けられていました。そしてぼくが目を見張ったのが、選んだ本についての解説を、一人ひとりに手書きで手紙に書いていたことです。これはまさに、究極の通販じゃないかと、ぼくはちょっと興奮してしまいました。

善行堂倶楽部、いいなあ。ぼくも山本さんに選書してもらいたい。自分では選ばない(選べない)本との出会いは、自分の世界を広げてくれると思うから。

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ウィリアム・エグルストン

ウィリアム・エグルストン

朝、仕事にとりかかる前に
ウィリアム・エグルストンの
写真集を眺める。

まだ外はうす暗くて
ちょっと肌寒くて
コーヒーをすすりながら
エグルストン。
コーヒーを飲むと
必ずお腹をこわします。

「The Democratic Forest
Selected Works」は
ぼくがはじめて買ったアート写真集です。
装丁も紙の質も素晴らしく
特別なモノを手に入れたような
高揚感がありました。

すべての写真集が
そうではないと後から知って
最初の一冊がこれだったことを
幸運に思いました。

写真集を専門に扱うお店が
福岡にもできたらいいのにな。
10年くらい前に青山ブックセンターが
できたと思ったらあっさり閉店して
(当時はその有難みがわかっていなかった)
やっぱり東京じゃないと需要がないのかな。

東京に住みたいとは思わないけど
何でもある環境は正直うらやましい。
本屋めぐりの旅に行きたい。
BOOK AND SONS
shelf
SO BOOKS
bookobscura
nostos books・・・

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生き方、働き方

kishidanchou


文庫本が出たこのタイミングでわざわざ単行本を買うぼくの奇行を、レジの人はどう思ったんだろう。ぼくは村上さんが小説で描く「働き方」や「仕事に対する考え方」を読むのが好きで、フリーランスとして生きるうえで、ずいぶん勇気づけられています。

「手を抜いてもバレないような小さな仕事でも、決して手を抜かず、入念に準備をして、丁寧な仕事をしていれば、必ず誰かが見てくれている」とかね。「うまくいかなかったら、その時にまた考えよう」というセリフもよく出てきて、不安になった時はよくこの言葉を思い出します。

ちなみに、インターネット上でぶいぶい言わせているIT系の人が、行動力とスピードをやたら推奨し、とりあえずやってみてダメだったらまた別のことやればいい、と言っていますけど、その考え方は嫌いです。それと村上さんのは違うから。

村上さんの言う「うまくいかなかったら」というのは、準備と覚悟がちゃんとあって、最大限努力をし、それでもうまくいかなかったらという意味です。思いつきで行動して周りを巻き込んでうまくいかなかったらはい次ーのIT系ぶいぶいマンとは本質が違うのだ。

そして、ぼくがそんなIT系ぶいぶいマンを好きになれないのは、彼らのスピード偏重型無責任行動によって、被害を受けた人や傷ついた人がいることに、彼らが全く気付いていないからです。

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単行本か文庫本か

識者120人が選んだ「平成の30冊」の1位が、村上春樹さんの1Q84?ねじまき鳥よりも、カフカよりも、1Q84なんですね。

村上さんといえば、騎士団長殺しが文庫化されました。ぼくは気軽に持ち運べる文庫本が好きなので、騎士団長殺しも文庫化を待ってたんですが、いやちょっと待てよ、好きな作家の本くらい、単行本で買うべきなんじゃないか?と、ここにきて気持ちの変化が生じています。

これはレコードのせいだな、たぶん。なんとなく文庫本をCDに、単行本をレコードに置き換えてしまっているようです。さて、どうしようか。

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文字、言葉、デザイン。

文字講座

デザインにおいて文字は重要で
場合によってはほとんど
文字次第みたいな時もある。

「文字講座」を読了しました。
服部一成さんの内容がすばらしくて
ますます服部さんが好きになった。

ウェブサイトをつくる時
ダミーテキストを入れて
とりあえずデザインすることがある。
でも大抵上手くはいかない。
当然ですね、本質が抜けてるから。

ことばからデザインする。
文字からデザインする。

それと同じような意味のことを
音楽家であるフィッシュマンズの
故・佐藤伸治さんが語っています。

「俺はいつも歌詞から先に書くんですけど
詞を書いたとき、詞の周りには
いろんな景色があるわけじゃないですか。
書いてないけど。それが
音楽になるんじゃないですかね」

ぼくは、そうか!と
思わず膝を打った。
とても良いことを聞いたなと。

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美しい日本のくせ字

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良い本にめぐり合えるとうれしい。

手書きの文字が好きです。
電話しながらさっと
メモ紙に書いた文字
録音したカセットテープに
書き込んだ曲名の文字
いいですよね。

「美しい日本のくせ字」は
そんな字を集めた本です。

上手な字は素晴らしいけど
ヘタクソな字だって
同じぐらい素晴らしいのだ!

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海辺のカフカ

海辺のカフカを再読。
10年以上前に読んだ時は
「なんか今までの村上作品と違うな」
と感じてイマイチな印象だったんだけど
改めて読んだらすごく面白かった。

なんといってもホシノ青年です。
ぼくのぼんやりとした記憶の中でも
ホシノ青年のことだけは
わりと覚えていましたが
その記憶を飛び越えて魅力的だった。

好きなシーンはたくさんあるけど
これまで好き勝手に生きてきて
音楽や映画なんてロクに
見てこなかったホシノ青年が
ふらっと入った喫茶店でベートーベンを聴き
店主と音楽について語り合うシーンがとても良い。
フランソワ・トリュフォーの映画を
ぼくも見てみたいと思いました。

先日ラジオで村上さんが
「物語がこの先どうなっていくのか
自分でもわからずに書いている」
と言っていました。
たぶんホシノ青年を登場させた時
彼がここまでの重要キャラになるとは
村上さんも想定していなかったんじゃないかな。
書いてるうちにホシノ青年のことが
どんどん好きになっていったのでしょう。

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スイミーとの再会

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エリック・カール「巨人にきをつけろ」の表紙裏に、レオ・レオニにささぐって書いてあって、レオレオニ?だれやろ?グーグル検索で、あ、スイミーだ、という経緯で我が家にやってきました。自作の色紙でコラージュしていく手法は、エリックカールさんと同じですね。綺麗な絵です。

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スパゲッティの正しい食べ方

まずは、スパゲッティの前にきちんと座る。そして、スパゲッティの一部分を押しのけて、皿の隅に小さなスペースをつくり、そこを巻く専用の場所に指定する。これが第一のコツ。そしてほんの2~3本だけフォークにひっかけて、ここが大事なところよ、フォークの先を皿に押しつけて、時計回りに静かに巻く。このとき、決してフォークの先を皿から離してはいけない。これが、第二のコツである。『ヨーロッパ退屈日記・伊丹十三著』

ふむふむ。今まで左手にスプーンを持ち、スプーンのくぼみで巻いていたけど、その方法は伊丹さんに言わせると「粋ではない」らしい。

先日の晩御飯が、スパゲッティとオムレツだったので、これはチャンス!と実践してみました。結果、わりと上手にできました。これで本場イタリアでフォーク1本出されても、涼しい顔でクルクルやれる自信がつきましたよね。

伊丹さんのスパゲティ講座の締めくくりは、こうです。

「さて、あなたは今、スパゲッティを完全な紡錘形に巻きあげて、ほとんど芸術的、といってもいい悦びを感じています。あなたは、その芸術品を静かに口に運び、音もなく味わう」

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絵本は儲かる?

pinpon

子供が自力で立てるようになってきて、うれしいんだけど、ちょっとさみしいような、そんな感じです。笑いながらハイハイで突進してくるのを、もうすぐ見られなくなると思うとね。

ちなみに子供は絵本が好きで、きむらゆういちさんの仕掛け絵本や、荒井良二さんのピンポーンがお気に入りです。荒井良二さんの絵は魅力的だ。まるで子供のように描く。

あらゆるページをびりびり破いてしまうから、その都度、妻がたのしそうにセロハンテープで修復します。それを繰り返してボロボロになると、絵本に風格のようなものが出てくる。それがまた良いんですよね。

新しい絵本を買ったら、表紙の裏に書いてある増刷数をチェックして「うわ、150回も増刷している、儲かってるなあ」と思います。「この世に赤ちゃんが生まれるたびに売れ続けるのか・・・すごいな」と思います。下世話ですみません。でも実際のはなし、定番モノはすごそうですよね。

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子供の絵とカリスマの言葉

湯村輝彦ヒットパレード

長浜の鮮魚市場に、子供が描いた魚の絵がずらっと並んでいて、おもわず目が釘付けになった。どれもが自由で、パワフルで、魅力的なのです。

あのピカソも子供のように描きたいと願い、だけど本当の意味での自由な絵は、子供にしか描けない。漫画家の楳図かずおさんも探求した「子供と大人の違い」は、とても興味深いテーマです。

「仕事で絵を書いているとさ、だんだん上手になっていくでしょう。上達するのは、案外カンタンなんだよね」と言ったのは、元祖ヘタウマイラストレーターの湯村輝彦さんです。

「だからぼくは、子供のときに絵を描いた楽しさを忘れないようにしている。そして、上手くならないように気をつけている」これはまさに、金言だと思うのです。

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生きてるうちにお願いしますよ

先日、本屋へ行ったら、また安西水丸さん関連の本が出ていた。亡くなってから再評価されるというのは、本人的にどうなんだろう。

ノルウェイの森に出てくる永沢さんは「おれは死んだ作家しか信用しない」とか言ってたっけ。ちなみに作中の人物で、ぼくは永沢さんと突撃隊が好きです。

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装幀が亀倉雄策さんだった

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実家に遊びに行ったときに物置をあさっていると、古い河出書房の文学全集が出てきました。そういえばこんなのあったよなあと思いながら「罪と罰」を借りて帰りました。

装幀が亀倉雄策さんだ!亀倉さんは東京オリンピックのポスターで有名なグラフィックデザイナーの大御所です。

初版印刷は昭和41年。ぼくが生まれる10年前ですね。文字はとても小さく、ところどころに渋い挿絵が入ってます。

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坊っちゃんの読書感想文

夏目漱石の坊っちゃんを読みました。国語の教科書にものっていた(ような気がする)からてっきり読んだつもりでいたけど、実はちゃんと読んだことなくて今更ながら読んでみたらおもしろかった。

大人たちのインチキ具合やユーモアが「ライ麦畑でつかまえて」に似てる気がしました。

読んだあとネットでいろいろ見てみると、登場人物のモデルについていろんな説があって面白い。へーと思ったのは赤シャツは漱石自身だという説で、西洋かぶれのイヤなところが自身にあると認めていたというやつ。

真実は漱石にしかわかりませんけどね。

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騎士団長殺し

騎士団長殺しはおもしろかったです。とつぜん妻に逃げられたり、暗い穴の中にもぐったり、感性の鋭い少女が出てきたり、村上作品でおなじみの要素たちがオールスターのように登場します。そしてメンシキさんは、グレートギャツビーですよね。

画家の主人公が絵を描くプロセスを結構こまかく描写しているのが面白くて、きっと村上さん自身が小説を書く行為は、こういうことなんだろうなあと、置き換えながら読んでいました。

昔からの村上主義者はたぶん、ねじまき鳥までは好きで、カフカあたりからなんか違うなあ・・・というふうに感じてきたんじゃないでしょうか。ぼく的には「1Q84」はすごく好きでしたけど。カフカ以降、主人公の「ぼく」が、あの「ぼく」じゃなくなっていましたが、騎士団長殺しでは、ひさしぶりにあの「ぼく」が戻ってきた感じです。

村上さんはいつまで、長編小説を書くんだろうか。まだまだ新しい作品を読みたいので、JDサリンジャーみたいに、いきなり隠居しないことを願います。

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村上主義者

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2年くらい前に「村上さんのところ」というウェブサイトが期間限定で開設されました。一般の人からの質問メールを受け付け、その質問に村上春樹さんが答えてくれるという夢のようなウェブサイトでした。

膨大な数の質問メールが届き、村上さんはそのひとつひとつに目を通し(やはりまじめで誠実な人なのです)3ヶ月間ほかの仕事がまったくできない状態になったそうです。

そのウェブサイトはもう閉鎖されましたが、選りすぐりの回答をまとめた本が出ています。そしてぼくはそれを買って今読んでいます。おもしろいです。村上さんのやさしく、時に厳しく、知性とユーモア溢れる回答文を読みながら、ひとりニヤニヤ笑ったり感動したりしています。

そんなハルキストなぼくですが、この「ハルキスト」という言葉が嫌いです。どこかバカにしていますよね。そのハルキストという呼び名について村上さんはどう思いますか?という質問が掲載されていました。

村上さんは「そんなちゃらい呼び方はやめて村上主義者にしましょう。うでに羊のタトゥーを入れて、地下でこそこそ村上作品を読みましょう 」と提案していました。いいですね、村上主義者。なぜ羊なのかがわかる人は、村上主義者ですね。地下であいましょう。

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デイヴィッド・ホックニー

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プールの絵で有名な
ホックニーの画集を買ったので
寝る前に眺めています。

インスタグラムで
ホックニーの絵にいいねをしたら
知らないだれかが
プールではしゃいでる写真まで
表示されるようになりました。
タグだけじゃなくて
画像識別もしてるのか。

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チククの針は鋭いぞ

ちょっと前にカメラマン黒川さんから「これ読んで」と漫画本を渡されました。ずしりと重たい大型コミックス。正体は松本大洋さんの「sunny」と、宮崎駿さんの「風の谷のナウシカ」でした。

松本大洋さんの漫画をちゃんと読んだのははじめてでしたが、絵を描く人たちがこぞってファンになる理由がわかります。ミリペンで描く線は独特かつ緻密で、ひとコマひとコマが作品のようです。これは描くのに時間かかってそうだなあ。

つくる仕事をしていると、ついついその「とてつもない労力」のことを考えてしまう。sunnyは内容もすごく良かったです。せつない。

そのあと松本大洋さんについていろいろと調べていると、ベン・シャーンのことが好きだとインタビューで語っていて、ああやっぱりなあと思いました。ちなみに、ぼくもベン・シャーン好きです。

漫画版ナウシカもはじめて読んで、内容の濃さにビビりました。映画は原作のほんの一部と聞いてたけど、これほど原作が濃いとは・・・。ハヤオさんの頭の中はいったいどうなってるんでしょうね。

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wacomのバネつき替芯

pen

使っているペンタブレットはwacomのIntuos Proです。最近、バネのついている替芯をよく使います。描きづらいんだけど、そのせいで線に揺らぎが生まれて良い感じです。

この前本屋にいったら、平積みされてる騎士団長殺しの横にひっそりとたたずむ短編集「女のいない男たち」を見つけました。

いつのまにかこんなの出てたのかあーと思いながら買って読むと、北海道のとある町から、内容にクレームが出たというニュースを思い出しました。あのニュース、このことだったのか。本の内容は正直、いまいちかな。騎士団長殺しに期待しよう。

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