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映画や音楽のこと

エミリー・ディキンソン

最近良い本に巡り合っていて、
中でも『詩とは何か』が
特大ホームランでした。

詩人の吉増剛三さんが、
いろんな詩人について、
いろんな詩について、
紹介して、語ってくれる、贅沢な本。
お値段たったの1,100円。
本ほどコストパフォーマンス
(という言葉はあまり好きじゃないけど)
がいいものは他にあり得ません。

おまえは詩が好きなんか?と言われると、
好きなのかどうかよくわからないし、
おまえに詩がわかるんか?と言われると、
ほとんどわかってないけど、
逆に詩がわかるなんて嘘くさいやろ。
たった数行の言葉で心がブルっと
なることがあるのは本当です。

吉増剛三さんが最も大切にしている詩人が
エミリー・ディキンソンという人で、
大抵の人は知ってるんでしょうけど、
ぼくは映画「パターソン」の中で
その名前をはじめて知りました。

そのシーンは大好きなシーンで、
バスの運転手をしながら
詩を書いているパターソンが、
同じく詩を書いている少女と出会い、
ほんの数分間、話をするシーンです。

少女が自作の詩を読み上げて、
それがなかなか素敵だったので
パターソンはちょっとびっくりして、
複雑な表情を浮かべながら
「綺麗だね」と言います。

別れ際に少女はぱっと振り返って
「エミリー・ディキンソンは好き?」
とパターソンに尋ねます。

「好きな詩人だよ」と答えると、
「エミリー・ディキンソンが好きな
バスの運転手さん、クールね」
と言って少女は走り去ります。
良いシーンです。

そのエミリー・ディキンソンのことを、
詩人・吉増剛三さんは
最も影響を受けた詩人として、
この本の中で紹介しています。

アメリカの片田舎で
ほとんど家から出ずに、
詩をだれかに見せることもなく、
自分のためだけに詩を書いて、
引き出しの奥にしまったまま
孤独のうちに亡くなったそうです。

そのことを思い浮かべながら、
この本に掲載されている
「気を失った駒鳥」を読むと、
じーんときます。

映画「ソフィーの選択」でも
エミリー・ディキンソンの詩が
出てくるそうです。
今度見てみよう。

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パターソンの世界

パターソンのDVDを買いました。
前はアマプラで無料視聴できたのに
いつのまにか有料になっていて
まんまと買わされました。

くそう。やり方が汚いんよアメリカ企業は。
でも手に入って素直にうれしい。
これでまたいつでも好きな時に
あの静かな世界へ入っていけるのだ。

当たり前の日常を綴った映画
と言われたらそれまでなんだけど
重要なのはその綴り方なんよ。

ストーリーが面白いとか面白くないとか
たいして重要じゃないのです。


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パターソンは100点満点の映画だった

静かな映画が好きです。
淡々とした日常を丁寧に描いた、
リアルな感触のある映画。

そういう映画ってなかなか無いんですけど、
先日ひさしぶりに大当たりを引き当てました。
ジム・ジャームッシュ監督の「パターソン」です。

バスの運転手をしながら
詩を書いている男の日常を
淡々と描いている映画なんですが、
これが本当に素晴らしくて、
見終わったぼくは最高の気分になりました。

レビューを見るとぼくと同じように
興奮している声もあれば、逆に
「退屈な映画」「ぜんぜん面白くない」
という声もあります。

人それぞれだから全然いいんだけど
「自称おしゃれな人が通ぶって見る映画」
という声には、心の底から反論します。

そんなんじゃない。
そんなんじゃないんだよ。
パターソンは、
ただただ静かで美しい、
まさに「映画」でした。

印象に残っているシーンはたくさんあるけど、
特に好きなのは詩を書く少女に出会うシーン。
コインランドリーでラップしてる人に出会うシーン。
奥さんがギターで歌ってくれるシーン。

バスを運転するだけのカットも綺麗だし、
ラストのカットも綺麗だし、
とにかく全部いい。100点!
まるで自分だけのための、
宝物のような映画でした。

30本観てようやく
1本あるかないかぐらいの確立だけど、
こういう体験を求めて、
ぼくは映画を観るんだ。

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もっとのびのび書いていく宣言

いざブログを更新しようと
思ってカタカタ打ちはじめるも、
こんなことブログに書く必要あるかな?
ないよね、と思い画面を閉じる。
そんなことを繰り返しているのが、
ここ最近のぼくです。

いかんいかん。もっと自由に、
のびのび更新していこう。

腹が立ったら、
腹が立ったと書いていこう。

つまらん映画を観たら、
つまらなかったと書いていこう。

それでもしかしたら誰かが
不愉快に思うかもしれないけど、
それを意識しすぎたら
何も書けないじゃないか。
よし、書こう。

amazonプライムで
エヴァンゲリオンの映画を観てみたら、
まーヒドイもんでした。

今までちゃんと作品を観たことないくせに
庵野さんのストイックな仕事ぶりを見て
ちょっといいなと思ってたんだけど、
肝心の作品があれじゃあ・・・。

セリフはひどく、
音楽もダサい。
途中で観るのをやめました。

amazonプライムといえば、
おいしい給食が面白くてハマったんですが、
シーズン2は全然ダメでした。
作り手が変わったのかな?というくらい、
1の良いところがことごとく
失われていてガッカリしました。
続編あるあるですね。

今年はあまり映画を観なかったなあ。
あ、妻と子供が実家にお泊りしたとき、
ひとりで夜中に「悪魔のいけにえ」を観ました。

ニューヨーク近代美術館に
マスターフィルムが永久保存されている
ホラー映画の傑作です。




グッドフェローズもよかったな。
狂犬トミーが怖すぎて。
あとは、うーん、思い出せない。

来年はもっとたくさん映画を観るぞ。
だけど自分にピタッとくる映画って
なかなかないのよ。本当にない。

だからぼくはお気に入りの映画を
繰り返し観てしまいます。

「3-4×10月」は今年も3回ぐらい観ました。
あんな大傑作を当の北野監督は、
失敗作と語っているのが面白いですよね。
本人が傑作だと思うようなものは、
意外とやりすぎてて
つまらなかったりするものです。

さて、こんなブログを
年末に更新する必要があるのか?
ないよね、と思いながら、
投稿ボタンぽち。

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青春を持ち帰る

ローファイものを聴き漁っていた20代の時、
ぼくのアイドルはスティーブ・マルクマスと
ルー・バーロウでした。

そのルー・バーロウも55歳になり、
いまだローファイ音楽家として
活動していて最高なのですが、
彼が自宅のベッドルームで
ボロボロのフォークギターで
弾き語りをする素敵な動画の
再生回数なんとたったの800回。

先日テレビをつけたら歌番組をやっていて、
今って曲を紹介するとき「再生回数〇〇万回」
って紹介するんですね。
そして世間の(くだらない)ヒット曲は
再生回数1億とかあるのに、
ルー・バーロウは800です。

逆にルーさんが1億だったらなんか嫌なので、
別に800でいいんですけどね。
ルーさんのギターの弦は
全然ピカピカしてなくて、
やっぱり信頼できる人だなと思いました。

最近のぼくはデジタル嫌いが加速しています。
実家で眠らせていた膨大な量のカセットテープを、
ひーひー言いながら持ち帰ってきました。
高校時代、今は亡き薬院ウッドランドで、
せっせとCDを借りて録音してきたぼくの青春です。

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トトロはすごい

ぼくも妻もジブリファンなので
家にいくつかDVDがあるのですが、
最近子供がとなりのトトロにハマって、
飽きることなく何度も繰り返し見ています。

ぼくもたまに一緒に見るんですが、
トトロってすごいですね。
めちゃくちゃ良いですね。
今更何言ってんの?って感じですが、
トトロの良さが本当の意味で
わかったのって、実は最近なんです。

昔はあんまり好きじゃなくて
「なんでジブリの代表作として
トトロがいつも挙がるんだ、ラピュタやろ」
と憤慨していたのですが、
いやいやトトロは良い。
最初から最後までずっと名場面。
どこを切り取っても面白い。

たぶん自分が親になったことが大きいんでしょうね。
もちろん親じゃなくても
わかる人はたくさんいると思いますが、
ぼくはそのへんの感覚が鈍い人間なので、
子供を持ってやっと理解できたんだと思います。

メイとサツキがばあちゃんの畑で
たくさん野菜を採って食べるシーンがあります。
それを見ながらぼくが
「豊かやなあ」とボソッとつぶやくと、
子供が「ゆたか?ゆたかってなに?
たからものがいっぱいってこと?」と言って、
いやあー君はたまにすごいことを言うねえ、
と驚きました。

後日またトトロを見ていて気づいたんですが、
野菜のシーンでサツキが
「おばあちゃんの畑って宝の山みたいね!」
と言っていたんです。そうか、
このセリフを覚えていたんですね、きみは。

ちなみに一番好きなのは、
雨のバス停でトトロに出会うシーンです。
傘があることで最初
トトロの足しか見えない
という演出。天才。

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ブルーノート・レコード ジャズを超えて

ブルーノート・レコード ジャズを超えて

観てきました。ブルーノートの歴史をジャズの偉人たちが語っていて、とても興味深かったです。

創設者の2人、アルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフは、本当に偉大なことをやったんだけど、本人たちにはきっとそんな意識はなくて、ただジャズが好きで、ジャズミュージシャンが好きで、子供のような気持ちでレコードをつくっていたんじゃないかな。

レコーディング現場で、フランシス・ウルフが変な踊りをはじめたら、それがOKテイクだった。と語るハービー・ハンコックは、実に楽しそうでした。

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ドラムソロっている?

session

ネットフリックスで映画「セッション」を観ました。開始10分で「あ、これは面白いやつやん」とわかる映画で、そのとおりに面白かったです。自動車事故をするまでは。

あのラストは絶賛されてるけど、ぼくはいまいちだったなあ。そもそもドラムソロがあまり好きじゃないっていうのが理由として大きいかもしれない。普段レコード聴いてても、正直ドラムソロを良いと思ったことないから・・・。いるかなあ、ドラムソロ。(ドラマーの人、すいません)

一緒に観た妻もほぼ同じ意見でした。途中まではすごく面白かったのにねと。しかし主人公が一流を目指してどんどん狂気を身にまとっていく様は、なかなか見ごたえがありました。いろんなものを犠牲にしたり、傷つけたりしながら。

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最近の映画鑑賞記録

なかなかがっつりと映画を観る時間が取れないので、ひとつの作品を何日かに分けてちょこちょこ観たりしています。近所のゲオやツタヤで借りるんですけど、結局観ないまま返却することが半分くらいあります。モッタイナイネー。

ここ最近の個人的ヒットはゴダールの「気狂いピエロ」で、いままでちゃんとゴダールさんを観てこなかったぼくは衝撃を受けました。こんなにかっこよくて面白かったのか。ただのオシャレ映画と勘違いしておりました。

同じくゴダールのウイークエンドもすごかった。頭に映像が焼き付いて離れないのは、気狂いピエロよりもウイークエンドのほうでした。ぶつ切りBGM、突然画面を覆うタイポグラフィ、カメラ長回しシーン、豊かな色彩、中毒性のある映画でした。

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最近観た映画(再観賞含む)

気狂いピエロ ★★★★★
ウイークエンド ★★★★★
過去のない男 ★★★☆☆
キッズリターン ★★★★☆
太陽を盗んだ男 ★★★☆☆
バッファロー66 ★★★★★
エル・トポ ★☆☆☆☆
スリ ★★★☆☆
CURE ★★★☆☆

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3-4X10月にエリック・ドルフィー?

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3-4×10月にはまったくBGMが無く、エンドロールさえ無音ですが、北野武監督は当初エリック・ドルフィーの音楽をつけようと考えていたらしいという記事を見かけました。

結果的に無音にしてぼくは大正解だったと思いますが、ドルフィーが流れる3-4×10月も、ちょっと観てみたい。

それにしても、タケシさんがジャズにも精通していたのは知らなかったな。昔タクシーの運転手をしていたときに、セロニアス・モンクを乗せて伝票にサインをもらったっていう話も聞いたけど、本当だろうか。

お笑いビッグ3でゴルフをやっている時、タケシさんとタモリさんはあんまりソリが合わないように見えたし、共通の話題も無さそうだったけど、実はカメラの無いところでジャズの話とかしてたのかな。

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