借りぐらしのアリエッティを久しぶりに観て、あれはスピラーの映画だと思いました。わずか5分間しか登場しないのに、圧倒的な存在感を放つ野生児スピラーの、あの唐突な登場の仕方がいいし、無口なのもいいし、ムササビのように空を飛んで帰っていくところもいいし、巨大な人間に向かって躊躇なく弓を引く所作もいいし、アリエッティに野イチゴを差し出す横顔もいい。
借りぐらしのアリエッティを久しぶりに観て、あれはスピラーの映画だと思いました。わずか5分間しか登場しないのに、圧倒的な存在感を放つ野生児スピラーの、あの唐突な登場の仕方がいいし、無口なのもいいし、ムササビのように空を飛んで帰っていくところもいいし、巨大な人間に向かって躊躇なく弓を引く所作もいいし、アリエッティに野イチゴを差し出す横顔もいい。
誉めるばかりではなく、惜しいと感じる点についてもちゃんと言及するのが本当のレビューだと思うので、「リンダリンダリンダ」の惜しい点について言わせて頂くと、音楽を担当したジェームズ・イハさん(あのスマッシング・パンプキンズのギターの人!)のセンスはキラリと光りながら、ちょっとBGMを入れすぎた感は否めない。
恵がひとり部室に座っているシーン、夜中に学校へ忍び込むシーンは、BGM無しのほうがよかったと思う。夕方の土手をみんなで歩いていく印象的なシーンも、環境音だけの画を信じて欲しかった。ジェームズ・イハさんの音楽は、とても素敵でハマってるんですけどね。
この映画は、嫌な気持ちになる場面がひとつも無いっていうのがミソで、大抵の映画は不幸を見せつけて、それを乗り越えるカタルシス!みたいな感じじゃないですか。それも悪くないけど、わざわざ娯楽のために嫌な気持ちになりたくないじゃないですか。リンダリンダリンダは、不幸なんていちいち見せず、語らず、ただほんのり幸せでありふれた日常を、ちょっと離れた場所から見せてくれるから、繰り返しの鑑賞にも耐えうる、最高の青春映画になっているのです。
20年前の映画ですが、傑作です。文化祭直前にボーカルが抜けてしまった女子高生バンドが、韓国人留学生のソンさんを急遽ボーカルにして、みんなでブルーハーツを練習する、ただそれだけの話だけど、過剰な演出やウソっぽさの無い、淡々と描く日常、ちゃんと練習したかと思えば、意味もなくグダグダする、要所要所にプロの役者じゃない人がいて、それがなんとも心地よく、一生懸命覚えた日本語で、ソンさんがまっすぐ歌うブルーハーツが胸に響き、何度でも観たくなる、ベスト・オブ・青春映画です。
爆笑問題のラジオに、あの浅井健一さんが出演していたことを偶然知りました。浅井さんと太田さん、ロックとお笑いだけど、お二人の背景には確実に文学があって、でも二人が話をしているところなんて想像できないから、ドキドキしながらポッドキャストの再生ボタンを押しました。浅井さんと太田さんがお互いにリスペクトしていることが伝わってきて、二人を好きなぼくはうれしい気持ちになりました。イカ天登場時を太田さんは見ていて別格だと感じていたこと、それをお笑いコンテストに出ていた自身と重ね合わせて話すところ、浅井さんの詩の世界を太田さんが話すところ、たびたび炎上する太田さんを強いと評する浅井さん、老いについて語るお二人、本当に面白かった。最後に浅井さんが「たのしかった」と言ったのは本音だと思う。太田さんのことが更に好きになりました。
27時間テレビの武南高校のダンスは、芸人の松尾さんと高校生たちがはじめて顔を合わせた日に一緒に踊ったコミカルなダンスを、演目の最後でまたみんなで踊るという構成も見事で、VTRから宮本亜門さんのコメントまでの全てが良い!そしてハモネプハイスクール、矢板東高校(かじみ屋)のケセラセラもほんとうに素晴らしかった。どう考えても彼女たちが圧倒的1位。人生1回目とは思えない。感動した!(貴乃花にトロフィーを渡しながら叫ぶ小泉純一郎元首相の声で)。はじめて原曲も聴き、ミセスグリーンアップルという方たちの才能にも驚嘆しました。流行りの歌を唄っているグループぐらいの認識だったぼくですが、こうして人は年を取り、時代に取り残され、粗品さんの言う老害になっていくわけですね。気をつけよう。
コットはじまりの夏の好きなシーンを、ちょこちょこ見返す毎日です。何回観ても良いものは良い。ラストシーン、ベタなのにどうしてあんなに感動してしまうのか。そこまで丁寧に描いてきた物語のおかげなんだけど、叔父と叔母がコットの親の手前、あっさりとした別れ方をしてしまい、車でぶーんと走り去った時、観ているぼくたちも、え?これでお別れ?と落胆し、その時に見せるコットの表情に、グッとくるのです。そしてコットが走り出したら、もう泣くしかない。最後、暗転するタイミングも完璧。その後コットがどうなるのかは、視聴者の想像に委ねられていて、ぼくは希望ある未来を想像しています。
初見で感動した映画でも、2回目に観るとあれ?こんなもんだった?ということがあるけど、「コット、はじまりの夏」に関してはノープロブレムでした。やっぱり素晴らしい映画だった!わかっていてもあのラストは泣いたし、改めて無駄のない、良い映画だと実感しました。
良いシーンばかりだけど、ショーンとコットが一枚のビスケットを機に打ち解けはじめて、一緒に子牛にミルクをあげたあと、2人で黙って昼食を食べるシーンが、とても好きです。
7月が待ち遠しい。
コットはじまりの夏のDVDが届くから!
思い返すと、映像、音楽、脚本、静かさ、
好きな要素ばかりだったけど
欧米の映画で「沈黙の価値」が
語られることへの喜びもあった。
自己主張してナンボという
欧米の価値観が嫌いだから。
待ち遠しいといえば
子供は7歳の誕生日を心待ちにしている。
ニンテンドースイッチを買ってもらえるから。
しかしここに来てスイッチの
後継機発売がアナウンスされてしまった。
このタイミングで現行機を買うのか
それとも新機種を待つのか
子供には難しい選択だ。
さぞかし悩んでいるだろうと思いきや
本人はそのことについて
あまり考えてなくて
かいけつゾロリシリーズの本に
夢中になっている。
ぼくは本を読んでいる時の
子供の顔を見るのが好きだ。
気になっていた映画「TAR」を観た。
なんかすごい映画だった。
どういう映画?と聞かれると
説明が難しいんだけど。
はじまっていきなり
主人公の女性指揮者が椅子に座ったまま
延々と音楽への考え方を話すシーンが続く。
たぶん15分くらい続くのだけど
ずっと話を聞いていたい!
と思わせるリアリティと面白さがあった。
あれってかなり勇気がいる構成で
映画の冒頭15分って
観客の心をつかむための
大事な時間じゃないですか。
そこをただ座ったまま
話すだけのシーンに使うとは。
後半はホラーばりに怖くて
真夜中にメトロノームがコツコツ
なり続けるところは正視できず
半分目を閉じながら画面を見ていた。
ラストシーンの観客の姿
あれは何だったんだろう?